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未来シナリオの実践 ―共創的対話で社会と経営の課題を発見―

今回ご紹介するのは、「未来共創イニシアチブ」のシナリオアンバサダーある技術研究職の中林暁男と、システムコンサルタントの清武康平。未来共創イニシアチブに関わることで、本来の専門業務や自身の成長にも役立っているという二人に、本活動の内容はもちろんのこと、得られた学びと気付きの生かし方、さらには抱えている課題や今後の挑戦について率直に語ってもらった。

 

研究開発に生かされるビジョンとストーリー

シナリオアンバサダーの一人である中林は、AIや量子コンピュータ、バイオロジーなどの先端領域における研究開発を担う技術者だ。未来イニシアチブに参加する以前から、自身の業務について行き詰まりを感じることがあったという。

「研究開発では長期的な視野が重要で、そのために膨大な情報のリサーチが必須。研究者は自ら情報を収集するものの、これほど目まぐるしく変わる社会状況下では、その負担がより大きくなり、個人だけで得られる情報も限定されてしまいます。また、研究開発は技術ベースで物事を考えていくものですが、実際にはそれだけでは不十分ともいえます」

そもそも、何のために開発をするのか? どのように研究をビジネスにつなげるのか? ビジネスを通じて社会に何を提供し、働き掛けられるのか?――このような具体的な目標が無ければ、長期的なビジョンも描くことはできない。中林は言う。「研究開発を推進するためには、ビジョンとストーリーの両輪が必要不可欠です」。

中林暁男 氏
AIを中心とするIT研究者の中林は、未来共創イニシアチブ創設時から参加

中林が未来共創イニシアチブに加わったのは、次の二つの理由からだという。

「一つには、この活動を通して多くの人々と関わりを持ち、ビジネスや他の産業界などの多様な情報に、包括的に触れられるから。一人で論文を読んで得られる情報も深いものですが、他の人たちと話す方が得られる情報の質も違うし、量も増えてはるかに豊かになります。自分一人では決して得られなかったような情報が大量に増えていく。未来共創イニシアチブの現場で出会った人たちと対話を重ねることで、未来を見据え、そこに至るストーリー(=シナリオ)を描き出せる。こういったところに、今まで抱えていた業務課題の解決につながるベネフィットを感じました」

「二つ目の理由は、私の子どもを含む全ての子どもたちが快適で安全に暮らせる世界になってほしいと願っているから。シナリオプランニングを通じていろいろな未来が見えてきますが、自分が関わっている技術の活用が世界にとってプラスになれば、技術研究者としてもうれしいことです。一人だけの夢ではなく、ここでつながった多くの人たちと一緒にそのような未来を考えられることが、大変魅力でした」

 

経営者の視座を現場で生かす

もう一人のシナリオアンバサダーである清武は、システムコンサルタントとして、工場でのデータ活用やサプライチェーンの最適化など、ものづくり領域のコンサルティングを中心に、最近ではシナリオプランニングによる事業・組織変革支援もクライアントに提供している。解決すべき社会課題が山積みとなっており、経済的な先行きにも不透明さが拭えない昨今、クライアントから要望される領域も拡大しているが、清武にとって未来共創イニシアチブでの活動が状況を解決する一助となっているという。

「国内外の工場などで、ものづくりの現場に携わるスタッフやオペレーターの方々と連携しながら得られる情報は非常に豊富ですし、それがYOKOGAWAの強みでもあります。しかし、先行きが不透明で変化が激しい現代にも対応したいという、お客さまから寄せられた課題を解決するには、現場目線とはまた違った、幅広い視野での思考力が求められるのです。そこで、より視座を高く持った経営者とのコミュニケーションが必要だと感じました。

未来共創イニシアチブに参加することで、これまでアプローチが難しかった経営者レベルの方々にも接し、対話できるようになりました。得られた経験や情報をそれぞれの所属部署にフィードバックすることで、お客さまの課題解決にも生かせています」

清武康平 氏
システムコンサルタントの清武も、未来共創イニシアチブ創設時から参加

 

共創型リーダーの育成、そして産官学のオープンな対話とつながり

本来、シナリオプランニングを用いて作られた未来シナリオとは、一度作ったものが永続的に使われるのではなく、時代の変化に合わせて常にアップデートされるべきものだ。国際情勢や技術的進歩など、常に変化している外部の環境に呼応して、未来の見え方も変わってくるからである。だからこそ、本活動で描き出される未来シナリオもまた、絶えず見直され、変化や進化を続けていかなければならない。

そのためにも、中林はシナリオプランニングの活用をYOKOGAWAの企業文化として定着させるために、人財育成の必要性を強く感じている。「今のチームでは人数が限られているので、一緒に未来共創の取り組みができるような、新しい人財の育成が急務です。そして彼らと共に、それぞれの事業部・部署で未来シナリオを生かせるように推進していきたいと考えています」。

現在、中林は、自社での研究開発を未来の世界観から見据えて、今後の研究戦略とひも付けようと試みている。また、早稲田大学のガバナンス&サステナビリティ研究所と共同で創設した「Green Phoenix Project(GPP)」の下で、産官学を融合した30法人を超える多様な分野・業界のプロフェッショナル・経営幹部がメンバーとなって連携している。実際に、各参加企業はGPPで得られる情報を社内の動きに活用し、自社の研究戦略と未来シナリオを組み合わせるなど、すでに大きな手応えを感じているという。

これからの展望としては、未来共創イニシアチブで得たノウハウを、いかにして組織全体にまで浸透させ、本活動を拡大・継続していくのかを検討中だ。

Green Phoenix Projectでのワークショップの様子
Green Phoenix Projectでのワークショップの様子

 

クライアントの課題解決にも生かせる外部からの知見

清武もまた、チームワークが必須となるシステムコンサルティング業務において、未来共創イニシアチブで得た経験により、クライアントとの対話の質が向上したと実感している。

「外部の方々から頂いた、さまざまな知見や視座を自社チームに提供することで、新しい展開がもたらされるようになりました。例えば、お客さまから相談された難しい課題も、未来共創イニシアチブの対話で得られた経営的視座や、外部環境から俯瞰する目によって、違った見解を提供できるようになったのです。従来は方法論にフォーカスし過ぎて膠着しがちだった状況でも、対話の質が向上することで、飛躍した展開が見られるようになりました」と清武。

すでに未来共創イニシアチブで得たことが、実務レベルでも生きていると確信する中林(左)
すでに未来共創イニシアチブで得たことが、実務レベルでも生きていると確信する中林(左)

この手法は結果的に、クライアントの課題解決につながっていくのだという。そういう面でも、未来共創イニシアチブの活動とシステムコンサルタント業を、並行して実践する意義と面白さがあるのだ。

 

高いハードルでも超えてみたい ~未来共創イニシアチブ活動の面白さ~

本活動は、本業と兼任している以上、時間的にも精神的にも大きな負荷がかかるものだ。初めて直面する難しさや大変さを感じつつも、そのような環境下にあって、なお意欲的に取り組み続ける彼らのモチベーションの源泉は何なのだろうか?

「未来共創イニシアチブは、実際に大きな事業機会を創出することで、初めてYOKOGAWAにとって大きな価値を持つと考えています。より明確な価値を生み出すために、R&D以外の領域でも本活動での経験や成果を生かせるように、さらに推進していきます」と、中林は希望を持って続ける。

「未来共創イニシアチブの活動を始めて以来、対話で手をつなげる先に広がったこの状態を、すごく良いなと感じています。例えば、単に『我々にはこういう技術がありますから、どう使うか一緒に考えましょう』と提示するよりも、未来を見据えたより大きなビジョンや夢を一緒に語り合った方が、人と人はつながりやすいですよね。

私はもともと、研究しているだけの方が個人的には楽だったし、自分の興味以外の情報を収集するタイプではありませんでした。仕事柄、テクノロジー関連の情報はともかく、政治・経済・環境といった領域については全くの門外漢だったのです。そこから一転し、未来共創イニシアチブに関わり始めたことで、さまざまな分野の情報があちこちから耳に入ってくるようになったわけです。私は研究者ですから、情報のインプットがひたすら楽しいんです。本活動を通じて、一人では決して得られなかった情報が膨大に増えていく。どんなに忙しくても、それが非常にうれしいことですね」

研究肌の中林だが、本活動を通し、専門外の情報に触れることで世界が広がった
研究肌の中林だが、本活動を通し、専門外の情報に触れることで世界が広がった

他方、清武もまた、本活動で得られた視座を現場の課題解決につなげようと、挑戦を続けている。

「私の場合、コンサルティング業務に携わっているので、目の前に見えているお客さまの課題という、非常に具体的なものと日々向き合わなければなりません。未来共創イニシアチブで可視化される社会課題には抽象的なものが多いため、それらを橋渡しすることは決して容易ではありませんが、トライアル・アンド・エラーを続けています」。そして、清武は前向きな姿勢を崩さない。「私は“考える”ことが純粋に好きなんですね。未来を考えるプロセスを通じて、自分の思考のバリエーションの広がりや深まりを実感できる。この手応えが、非常に面白いのです」

 

未来共創イニシアチブで身に付いた未来志向の考え方

最後に、シナリオアンバサダーを務める中林と清武が、本活動を通じて自身に起きた考え方の変化や、将来への想いを語ってくれた。

「いわば、未来シナリオがYOKOGAWAにとっての未来であると同時に、私個人や家族にとっての未来でもあるということです。未来の社会が良い方へ向かうために、自分たちはYOKOGAWAを通じてどのように働き掛ければよいのか? 以前の私であれば、自社の事業拡大を目的とした技術研究だけを考えていました。今は皆にとって望ましい社会を実現するために、どのようにYOKOGAWAのビジネスを発展させるべきか? そしてそのために必要な技術とは何なのか? という視点で考えるようになりました」と、中林は振り返る。

「未来を共に創る仲間として、社内外の方々とつながっていきたい」と語る清武
「未来を共に創る仲間として、社内外の方々とつながっていきたい」と語る清武

そして清武も、未来共創イニシアチブの意義をこう述べる。

「活動を始める前の私は、目の前の仕事や与えられた課題をどう解くかだけを考えていました。しかし今は、未来のことを考えるのがとても楽しい。私たちはYOKOGAWAという会社でこのような機会を得て、シナリオプランニングを実践し、経営者や有識者の方々、そして職場からサポートを受けています。その中で、たとえ未来が不確実に思えても、事業機会の創出や潜在ニーズの探索を深めています。そういう意味では、特別な体験だと思います。

現代は、誰しも不確実な未来に直面しており、皆が同じように不安な状況に生きている。だからこそ、未来共創イニシアチブのメンバーだからというくくりではなく、未来を共に創る仲間として、社内外の方々とつながっていきたいと考えています」

 

中林 暁男

中林 暁男
未来共創イニシアチブ シナリオアンバサダー

専門分野:AI研究・エンジニアリング、新事業開発、統計科学(博士)
趣味はマンガと海外ドラマ

清武 康平

清武 康平
未来共創イニシアチブ シナリオアンバサダー

専門分野:システムコンサルティング、経営変革推進
趣味は読書、人と会うこと

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米国発テックカルチャー・メディア『WIRED』に掲載された、「未来共創イニシアチブ」の英文記事

 

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